おやすみなんて言えない

クナイプをご存知だろうか。ドイツ製の、ぽっかぽかに温まる塩と芳醇な香りが特徴の入浴剤である。

短期的な話で恐縮だが、ここ数日しっかりバスタブに湯を張って、30分程じっくり汗をかくのに凝っている。このブームは時々くるが、あまり持続しないので、お供の入浴剤は小分けの袋のものを取り揃える。クナイプも、昔は大きなボトルしかなかったような記憶があるが、今は色々小袋でも出ているようだ。

昨日の国立ぶらり散歩の帰り、駅の近くのドラッグストアに立ち寄った。入浴剤を物色するためである。昨日の気分は「しっとり」とか「汗」とかいう文字が大きく踊っているパッケージは手に取るものじゃなかったので、シンプルなクナイプにすることにした。いくつかチョイスする中で、Gute nachtという袋が目に留まる。

ホップの香りがする、おやすみ前の入浴剤だという。
ホップ。
ビールだよな?

ホップの香りにとりつかれた私(ビール嫌い)は迷いながらもその小袋も掴んでレジに持って行った。

そして今夜である。

結論から言うと、大変爽やかな、すっきりした香りであった。ホップの他にももう一種入っているようなので、その香りも混ざっての爽やかさかもしれない。ビール感は欠片も感じられず、よし勝った!という心持ちである。

色は鮮やかなブルー。海かと見まごうばかり。そうだ。夏の爽やかな香りだ、これ。しかしドイツの海はこんなにも鮮やかなブルーなのだろうか。地中海、ふりそそぐ太陽というイメージの青なのだが。まあそれでも香りは好きだがGute nachtというには爽やかすぎることよ…と、釈然としない気持ちでむしろ眠れなくなりそうな予感を感じながら、香りを胸一杯に吸い込んだ。