実録・知らないお婆ちゃんに「携帯が壊れちゃったの」と言われた時の対処法

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午前中に久々にR9君(愛機のPanasonic LET'SNOTE CF-R9)を開いてYouTubeを見始めたらまんまとポッキーtweetを逃した私。「まあいっか」と早々に開き直り、だらーりだららと動画の波乗りに興じていた。この日のリハビリは「14時からで!お願いします!」と、担当理学療法士のMさん(指の形も眼鏡っぷりも素敵な男子)が午前中に伝えにきてくれていた。まだ時間はある。
とりあえず尿意を催したので、もそもそとベッドから青の4B号(借りている車椅子の名前。群青色の老兵である)に乗り込んだ。タオルを持って20mほど先の車椅子トイレに急ぐ。
幸いにして腕の力があまり落ちていなかったため、当初より移動は病院スタッフに驚かれるスピードを出していた。が、日中の病棟はスタッフの方もお見舞いの方も、何より私と同じように出歩く患者さんも多い。盗んだバイクで走り出すのは夜が定石であろう。歩く程度のスピードを心がけてくるくると車輪を操る。
と。
「お忙しいところすみません…」
車椅子に乗った見知らぬお婆ちゃんが現れた!

まだこらえきれる状態だったので、とりあえずどうしました?と尋ねる私。
「あのう…テレホンカードこの階では売っていませんよね?下の売店まで行かないとないですよね?私、エレベーターが怖くて…」
よくいらっしゃる、少しふくよかで淡いピンクが入った眼鏡をかけたこのご婦人は心底お困りのご様子である。
公衆電話は私のいる病室の前にあるが、カードの自販機はなかったような気がしたのでその旨答えると、
「やっぱりそうですか…下の売店まで行かないとないですよね?私、エレベーターが怖くて…携帯はあるんですけど昨日の晩壊れてしまって充電ができなくて…朝こちらに電話があって取りついで頂いたんです…寒くない?大丈夫?」
大丈夫ですよー。なるほど、ではカードを下で買ってきましょうか?と申し出てみたところ、
「エレベーター怖くないですか?私、怖くて…携下まで行かないとテレホンカードは売っていませんよね?携帯はあるんですけど昨日の晩壊れてしまって…朝こちらに電話があって取りついで頂いたんです…」
ここいらで「携帯が壊れた」という言葉が気になりだした。が、そろそろ尿意も限界である。
「すみません、それ多分携帯の充電がうまく行ってないだけだと思うんであとで見せて頂いてもいいですか?ちょっとお手洗い行ってくるんで!」
あらーごめんなさいね、とおばあちゃんが了解してくれたのを確認して全力疾走。トイレに飛び込んだ。
教訓:おばあちゃんの話を聞く前に自分の用事を済ませた方が良い。

すっきりして帰ってきて、改めて携帯と充電器を拝見した。
「電話はね、ドコモさんの簡単なやつでね、この蓋が取れてしまったの。昨日看護師さんに電池は入れ替えてもらったんだけどすぐ、ランプが消えてしまって…」
携帯はいわゆるラクラクホン、充電は電池交換式の携帯用充電器だった。
このおばあちゃん、まずは充電時にランプがつくということはご存知であった。

と、わざわざ書いたのにはわけがあって、以前同室だったおばあちゃんは電話をかけるのはスイスイだったが、充電についてはどうしても理解できない様子だった。
お年を召した方と電子機器についてお話しする時には失礼ながら会話からどこまでよくご存知かを推し量るのは必須だと思う。打てば響く様に会話のキャッチボールができれば直に聞いても構わないだろうが、そうでなければ一つ質問すると10の別の答が返ってくる場合がある。特に昼間の病棟に一人出歩くおばあちゃんは、往々にしてちょっと退屈している。ともすれば脱線したまま話し込んでしまいかねない。
そうなる前にじいっとよく聞いていた方が、自体を早くつかめることが多い。
教訓:聞きたいことが出てもまずは尋ねず好きなだけ喋ってもらうこと。

眠くなってきたので続きはまた明日。