松葉杖は苦難の道程

久しぶりに外出してみた
先週の土曜日に退院して以降、初めて外出した。今日が木曜日なので、土曜の午後から丸5日ぶりの外である。しかも退院日は病院の玄関から自宅の前まではタクシーだったし、入院中にリハビリで松葉杖をついて病院建物外を散歩したのもせいぜい10分程度。あとは病室からトイレ、自販機。帰宅してからは8畳ワンルームの中。それだけがここ1ヶ月の移動範囲である。
それを今日は思いつくままぶらぶらと、ただし交通量の少ないところを選んで散歩してみようということになった。母も私もほとんど部屋に引き篭っている。これはよくない、と二人の意見が一致した。

舗装路、意外にきつい
自宅は築29年アパートの3階で、もちろんエレベーターなどついていない。外に出るには階段を降らなければならない。これは退院してきた日に一度地獄を見ているので承知済みだったので、とりあえず死ぬ気で下る。記憶に反して階段の内側はコンクリートではなく鉄柵でできていたので、それにつかまりながら何とか降りた。この鉄柵がもう30cm低かったら楽なのに…!
降りきって、久々の地上を松葉杖で体を支えつつ右足で踏みしめる。昼下がり、日があたってそれなりに温かい。おお…外だ…と思いながら、アパートの裏手の道をゆく。が、どうも息が上がる。おかしいな?運動不足といっても一応日常生活で杖使ってたんだけど…と思いながら歩を進めたが、どうも左腕にかかる負担がかなり大きい。右より、より支える必要がある状態なのだ。
ふと、ものすごく左に傾斜している道であることに気がついた。目視ではっきりわかるレベルだったがこれまでは全く気づかなかったし、母も私が指摘するまで気が付かなかった。進行方向に対する傾斜であれば構わないのだが、左右どちらかへの傾斜はかなりこたえる。さすがにこんなトレーニングはしてこなかった。市道町道か私道かわからんが、涙目である。

長時間歩けない
いやまあまだ杖ついてるのにそんな長時間歩くなっていう話なんですが。
私はもともと筋力もないのだが、病院の中でちょろちょろ移動する分には息切れもなく割とすいすい動けていたので、大丈夫だと思っていた。が、しょっぱなから傾斜にやられたこともあってか、1ブロック移動する毎に立ち止まる勢い。腕もだるいし、それ以上に手のひら・手首に来ている。ダメ…これ以上支え切れない…と言わんばかりに、隙あらばぷるぷるしだしてくれる。30分ほどぶらりと放浪して帰る頃には手のひらで杖を握って体を持ち上げると小指がびりりとしびれてくる始末だった。

正直松葉杖舐めてた
「デスクワークなら、退院後すぐに復帰できますよ」とは言われたものの、母や周囲の「もうちょっと休め」というお叱りもあり渋々休んでいたのですが、彼らが正しかった…。デスクワークとはいうものの、常駐先でのSE業務に外勤はつきものである。この状態では時間通りに外勤先につける気がしない。お見舞いに来てくれた方が「松葉杖だと徒歩10分は徒歩30分」とおっしゃっていた意味がよくわかる。10分も杖ついてられない!
これはちょっと、午前と午後でトレーニングするしかない…と恐怖の階段を杖のみで上がりながら腹をくくったのでした。もう今回限りにしたい、松葉杖。