手紙のよろこび

数ヶ月に一度、ここにも登場しているともぞうから手紙がきた。

開封、というべきなのか。ハガキサイズで、公共料金類の請求書のように剥がして読むタイプのものを、広げるのに失敗して焦った。

なんとか解読可能だった手紙は、とりとめもない近況がつづられていた。舞台のこと。仕事のこと。展覧会のこと。制作のこと。
最後に
「あいたいなあ」
といった内容で締められていた。

ともぞうは情報サービス全般が不得意で、未だに実家はダイヤルアップを使っているし、むしろインターネットを使うのが一年に一度な勢いだった。カメラはフィルム式一眼。催し物の案内はメールではなくファクシミリ。メールだけは、年頃並にしっかりデコって送ってくるのが面白い。

そのスピードが介在しないリズムに、結構ほっとする。手紙をもらっても、書いても、ワクワクする。どの便箋使おうとか、もっとポップな切手探しておくんだったとか、そういった事を思い出させてくれる。ありがたい友人だと思う。

来月会おうか、なんてことを織り交ぜた手紙は、用意した便箋三枚をあっという間に埋めてしまった。